インドネシアの人々とともに歩んで – CSEAS Newsletter

インドネシアの人々とともに歩んで

Collected Back Issues 2019-03-15

水野広祐教授 退職記念鼎談

聞き手:
ディアント・バフリアディ(京都大学東南アジア地域研究研究所招へい外国人学者)
岡本正明(京都大学東南アジア地域研究研究所教授)

水野広祐教授は、1996 年に東南アジア研究センターに助教授として着任されてから24 年間、本研究所で勤務されました。2006 年度から2010 年度には所長を務められました。所長時代には本研究所の国際化に尽力され、グローバルCOE プログラムの採択も実現されました。本プログラムでは、インドネシアの泥炭火災問題に取り組まれ、その解決策を模索する実践型地域研究にも取り組まれました。インドネシアに対する愛着は所員の誰よりも強く、インドネシアの名門大学であるボゴール農科大学やバンドン工科大学で客員研究員や講師を務められ、日本のインドネシア、東南アジア研究の後進育成のみならず、多くのインドネシア出身の研究者を育て上げてこられました。水野教授の特徴は、何よりもインドネシア現地社会への徹底したコミットメントを重視し、コミュニティ、地域社会の視点に依拠した研究を進めてこられた点であり、世界に誇りうる成果を上げてこられました。とりわけ、インドネシアのジャワにおける農村での非農業部門の重要性を強調した研究、農村での土地権に関する研究、こうした研究から発展した都市部での労働問題研究は、インドネシア語だけでなく、スンダ語、更にはオランダ語も駆使したもので、その詳細なデータ収集と分析は圧倒的です。現在は、地球温暖化の要因の一つともされる泥炭火災問題にグループ・リーダーとして取り組まれています。水野教授はインドネシアのリアウ州を研究拠点として自然科学、人文・社会科学の研究者からなる合同調査を推進されています。その成果は日本語、そして英語でも出版され、インドネシアの泥炭問題を考える上で必読文献となったと言えるでしょう。インタビューでは、水野教授に研究者としての人生を振り返ってもらいました。主にインドネシア語を使用しました。

翻訳:岡本正明
編集:岡本正明、マリオ・ロペズ

東南アジア地域研究研究所ニューズレター第2号(2018年度)掲載)

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A Lifelong Quest to Learn from the Indonesian People:
An Interview with Prof. Kosuke Mizuno