土佐 美菜実 Minami Tosa – CSEAS Newsletter

土佐 美菜実 Minami Tosa

Newsletter No.82 2024-09-11

社会共生研究部門・助教
ライブラリアン

2024年7月にライブラリアンとして着任しました。大学では東南アジア島嶼部の宗教や文化に関心をもって勉強してきました。その後、アジア経済研究所でライブラリアンとして働き、インドネシアやマレーシアなどを中心に東南アジア島嶼部を担当していました。

CSEAS図書室では東南アジア地域に関する学術情報の流通状況を精査しながら、資料の収集・整理・提供を行い、東南アジアをフィールドとする研究活動に貢献したいと思います。特定の地域を専門とするライブラリアンとして、各国の出版状況や図書館事情、研究動向に精通するだけでなく、当該地域の政治、経済、社会問題、そして文化などに幅広く関心を持ち知見を広げることも重要だと考えています1

2018年にインドネシアのジャワ島南部に位置するジョグジャカルタ特別州に1年間滞在する機会があり、それは私にとって初めての海外での長期滞在でした。図書館に関連する知識や経験を蓄えるだけでなく、ローカルな生活様式や社会的営みのなかに身を置くことができ、非常に貴重な時間でした。珍しい食べ物や伝統的な祝祭や行事を通じてその地域の文化や歴史について学ぶのはもちろんのこと、日常生活にある小さな習慣だったり、人びとの考え方や関心事に触れることができました。それらは文献やインターネット上の情報だけでは得られない経験だったと思います2

また滞在中、受入機関であったガジャマダ大学の友人たちに誘われてタバコ農家へのフィールド調査に同行させてもらい、その経験もとても印象に残っています。調査を実施するための様々な手続きに始まり、農村の暮らしや小規模な農業活動の実態などを直接見ることができました。さらに、調査に同行するなかで現地の研究者たちの問題意識についても話を聞くことができました。単に知識を得たという以上に学んだことがあったと思います

お祭りで各家庭に配られる料理たち
タバコの葉を乾燥させている

東南アジアは各国で状況は異なりますが、資料・情報のデジタル化が顕著です3ライブラリアンとしてこうした急速な変化を日々追いかけるなかで、ふと滞在中の様々な思い出が脳裏に浮かぶことがあります。デジタル化をはじめとするたくさんの変化が人びとの生活に押し寄せるなかで、あの時私が見聞きしてきたものはどのように変わっていくのだろうと考えることがあります。やや勝手に郷愁にかられていることも否めませんが、これからも図書館業務に携わりながら知的関心を深めていくなかで、当時の体験が大きなよりどころとなっていくのだろうと思っています。

本記事は英語でもお読みいただけます。>>
New Staff: Minami Tosa